File No.85483
8月15日

『ファイアーグレネード現象』


報告元 VR開発局BP第11分室

ファイアーグレネード現象について、分かった事を以下に記す。


1.F・G現象の発動条件

F・G現象はM.S.B.S. Ver.5.66特有の現象であり、置きグレが33発になった場合に発動する。
発動した後は、CWを使用し、グレネードがフィールド上に出ている間起こる。


2.F・G現象の特徴

F・G現象は、第一段階と第二段階があり、対戦相手のモニターでのみ確認可能。
この現象が起きているとき、相手側がグレネードを使用するたびに、警告音を発するスピーカーから特殊なノイズが流れ、パイロットに直接的なダメージを与える。また、名称どおり、グレネードが爆炎を振り撒きながら飛来する。これが特殊弾頭を使用していると誤認された原因であるが、グレネード自体のダメージは現象が起きる前と不変である。
尚、グレネードのグラフィックに変化が生じるものと、変化が生じないものの二通りがある。主に変化しない物はダッシュ系グレネードと置きグレである。ノイズは全てのグレネード共通で起こる。


3.F・G現象の実態

この現象はM.S.B.S.に設けられたオブジェクト制限、(*1)『32OBJECTS』が異常な働きを見せたためにこの現象が引き起こされたようである。
セイフティーとして設定されたこのシステムが異常に働いた原因として、敵方の使用する置きグレが異常に処理されていた可能性があげられる。つまり、相手方のSTが使用する置きグレの消滅が、MSBS上ではきちんと処理されていないために引き起こされたと考えられるのである。


4.F・G現象発動までの置きグレ個数の増減について

発動条件で記されたとおり、F・G現象が発動する為の置きグレ個数は33になったときである。究明隊が提出した書類には25となっていたのは、多分、置きグレ以外の何かの要因があったのであろう。その要因として考えられるのは通称エビと呼ばれるグレネード弾である。この弾もF・G現象発動のためのカウントに含まれるかどうかは、残念ながら目下のところ不明である。
また、置きグレが相手に当たった時に、そのヒットした弾はカウントしないという説もある。以下にその仮説と、その説を支持する二点の参考資料を末尾に添付する。

相手にヒットした置きグレがカウントしない理由として(*2)『近接張り付き現象』及び(*3)『無敵化現象』で明らかにされた、HITマーカーの認識信号があげられる。攻撃がヒットしたときに表示されるHITマーカーは、つまり、攻撃した側と攻撃を受けた側との相互間の処理であるわけだから、置きグレがヒットした場合はその置きグレは完璧な攻撃終了宣言をしたことになる。
もっと詳しく記すと、異常処理が起きるのは置きグレを使用された側なので、その置きグレを食らうという事は、ダメージを受けるという事に他ならない。それはつまり、その攻撃の終了処理は完璧に成されたという事になる。
F・G現象が起こるのに必要な置きグレのカウントに使用される物が、攻撃終了宣言が出ない置きグレだとするならば、当然ヒットして攻撃終了宣言がなされた置きグレはノーカウントとなるのである。このことは逆説的証明見地からいっても、終了宣言をしない置きグレが何らかの異常処理をなされているという事が分かる。


5.M.S.B.S. Ver.5.66の欠陥とする根拠

今回のF・G現象は、それを引き起こすSTを含めてすべての機体で確認されている。これは統一ソフトであるM.S.B.S.のバグであることの裏づけに他ならない。また、今までのバージョンからはこのようなバグは検出されていない。すなわち、M.S.B.S. Ver.5.66に於いてのみ、相手方の撃つ置きグレは、その消滅処理が完璧ではないということになる。


以下、それ以上の事が判明したらお送りする。


補足資料

*1)『32OBJECTS』

M.S.B.S.上では、弾等の処理をFCS以外に処理制限を加えている。これは各機体の弾丸がリアルタイムリバースコンバートで出現させるからであり、コンバートする弾の数が一定以上になると機体ごと別空間へ持っていかれる。この現象が起きたとき、その瞬間の状態で実世界に機体及び弾丸は焼きつくのだが、これは一種の影であるため、本体への干渉は一切不能となる。これを「フリーズ」と呼称するようになったのは自然の流れである。
後に一つの機体が自らコンバートして操れるオブジェクト数は32発が限度であると判明し、これを上まって攻撃できる自殺的な機体があったため、M.S.B.S. Ver.5.4以降ではこの『32OBJECTS』という弾数制限機構が付与された。これは33発目の攻撃をコンバートできなくするという機能がついた一種のセイフティーソフトであった。ただし、これはコンバートできなくしようとする制限がついているだけであり、実際には何らかの要因でこのソフトがうまく機能せず機体がもっていかれることもある。ちなみにM.S.B.S.が安全に同時に操れる弾数は64個数であり、大抵フリーズが起きる時は、被害は33発目を出した機体のみに起きたが、極希に33発目の弾丸を捉えてしまったがゆえに対戦中の機体、及び空間ごと持っていかれる事も在った。これにより相手の発射する弾数をもチェックするという二重のセイフティー機能が付与された。
余談だが相手の機体・弾丸などがスローモーション化し、だが実際には映像とは別に通常通りの速度で動くという現象は、相手側をチェックする『32OBJECTS』によって引き起こされるものとされている。尚、弾丸の中には一つで数個分の処理がなされるものも存在する。


*2)『近接張り付き現象』

特殊無敵状態にある相手に対して近接攻撃を行った場合、相手からの反応が皆無であるため、近接を仕掛けた側が相手に近接攻撃を当てた状態で動かなくなってしまうという現象。
相手が特殊無敵状態を解除すれば、この張り付き現象が解除されることから、少なくとも近接攻撃がヒットしたときは相手の反応が返ってこないと次の動作に移れないということが判明した。
Ver.5.4以降では、近接攻撃がガードで解除される機能が付き、張り付き現象が立ち近接系で行われた場合に限り、ガード入力で解除が可能となった。
公式にはこの無敵状態とは別空間に本体が潜っており、現実空間にあるのはその影であるため、こちらの攻撃が通用しないとされている。この影に対して近接攻撃を行った場合、その影に直接触れることにより、異空間へと接続してしまい行動を止めてしまうとされている。これは「フリーズ」した影に向かって近接を行っても同様の結果が得られたためである。


*3)『無敵化現象』

通常、食らい無敵、起き上がり無敵というシステム上の無敵が存在する。厳密にいうと本体が虚数空間に潜っているのだが、これらの無敵が異常に長引くものを無敵化現象という。有名なところではネット無敵・ビット無敵など。
簡単に説明すると常に破壊されるという事が無く長時間フィールドに判定が持続する攻撃に、影の状態を利用して重なりつづけると、その座標に虚数空間から実体をコンバートできないため、その無敵状態が持続するというものである。ただし、「フリーズ」状態とは異なり、M.S.B.S.の有効範囲の虚数空間に居るため、本体の出した攻撃は、影を通じて実体と化す。
これが有名なネット無敵・ビット無敵だが、これらとは別に完全無敵というものがある。原理は一緒であるが、こちらは自らのシールドが減る状態にあるとき、その減少が終わる瞬間に残りのシールドを奪うような攻撃に当ったとき、もしくは減少するシールド量を決定付けた瞬間と同時に減少した後のシールド量を減らす攻撃がヒットした時に起こる。主なものにアジムの自爆、エンジェランのエクロージョンなどがある。
これらの自らのシールドを減らし、その減りが終了する間際に攻撃を食らうことで特殊無敵状態となる。この状態の時、相手方の次元は微妙にずれてしまっている状態であり、虚数空間に実体が潜んでいる状態で影の部分のみがコンバートされている。攻撃にいたっては実態を表わすため、こちらの攻撃は通じず、あちらの攻撃は有効というアルティメットスタイルとなる。この状態の時、相手の無敵化の要因となる攻撃をした側には常にHITマーカーが表示されつづける。これはつまり相手が攻撃を食らったというサインを出したきり、その食らった攻撃に対する終了宣言が完全に処理されてないため、食らい無敵が永続している状態とも言える。このことにより、HITマーカーが独自のM.S.B.S.上のみで当ったか当ってないかを判断しているのではなく、相手方のM.S.B.S.と相互で情報交換を行っていることが判明した。もっともこの現象は目撃情報・映像資料があるにもかかわらず、公式には極度の興奮状態にあった兵士の幻覚であるとして処理されてしまったが…。
余談だが、スペシネフのデスモードも、デスモードを選択した瞬間に攻撃を食らい、デスモードに移行できなかった場合、無敵化に相応する現象が起こる。但しこちらの場合は完璧なシールド無敵のみとも言われている。